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執筆者の写真たふ ぐす

セレプロ感想の再掲 8話 9話

セレプロ8話 本筋については他の人がやってくれるでしょう

4話あたりから気になって、ずっと考えてた逢生について書いてみる

インタビューが結構印象的だったので


逢生、自分の心身のコンディションについてよく理解しているんですよね

彼女は脳筋だから何も考えていないのではなく、何も考えないことが自己ベストに繋がりやすいから自らの経験に基づいてそうしている

大変まっとうな段階を踏んで自己形成に至ってるというか


「結果がどうあれ自分らしく」とインタビューで語っていたが、その語り口からは若干の諦観も感じたんですよね

前向きな諦観というか

自分の気持ちに逆らったところで、どうせいつもを下回る結果しか出ないと経験済みで、だから逢生は取り敢えずやってみることから始めるんだろうなと


一見なに考えてんだかわからず、他の候補ともあまり交わらねぇ、のほほんスポーツ女なんだけど、よくよく見るとそののほほんには挫折経験と、自分と向き合い続けた日々が詰まっている。

逢生が陸上を楽しめなくなったこと、私は前に「ある種の絶望」とか書いたような気がするけど、それはマジでそうですよ

だってそれまでライフワークにも近かった趣味が楽しめなくなるんですよ

うつ病の一症状にも似た状況ですよ

そもそもあの逢生が語るときに若干辛い顔をするような出来事が些事なわけねぇんだ。

本人に聞いても「気にしてないですよ」って返すけど。

本人は「自分、アイドル出来て良かったなーって思います!」って元気一杯言うだろうけど。


キャラに背負わされた強烈な記号が、半生が描写されることによって人間性へと解きほぐされていく瞬間が好きなんですよね

パズル解いてるみたいで

「あー!だからそういう風なものの考えになるのね!」みたいな

だからそういうことを考えさせてくれるセレプロ、めちゃいいなって思いました


花野井玲那のことは相変わらず憎からず思っています。

8話と9話の玲那が解釈難しいのでちょっと考えた。

あのインタビュー、玲那が姉への理解を放棄したって宣言だよね、多分

玲那は鈴音と灯のことが理解できない 歌は楽しくないから

漫画では「下手だから楽しくない」って言ってるんですよね

だから玲那はあのあと必死こいて練習したと思うんですけど、残念ながら歌が上手くなっても好きにはなれなかったことが9話で明かされてる


玲那、トレーニングを積めば積むほど姉のことが理解出来なくなっていくんだけど、同じ経験をすれば姉と同じ感情になれると思ってる

何故なら一緒に育ったし、姉の真似をしたら苺が好きになれたという成功体験があるから

自分は姉と同化できるって信じてここまでやってきた

自他の境界が曖昧なまま育った玲那


でも姉と物理的にも精神的にも同化してる存在が出てきてしまった

精神的な同化だけなら「自分は灯の血縁だから」で溜飲が下げられたし、なんならシンパシーも感じた

でもそれだけじゃないと分かって、鈴音はマジなんだって分かってしまった


玲那は「私はこんなに頑張ってるのに!貴女が歌が楽しいって思えるのはお姉ちゃんの影響じゃないの!?」って言うんだけど、灯と鈴音は歌の練習を「頑張る」ってことが理解できない 歌は頑張るものではなく楽しむものだから


姉の心臓の影響で鈴音の精神が灯に近づいたって思い込んだほうが玲那にとっては負担が小さいんですよね だってそれって実質物理的な同化だけなので、もしかしたら姉の心臓引っこ抜いて別の心臓に取り替えたら姉との精神的な同化もなくなるかも知れないので

(ここまで玲那の混乱した精神エミュレート)


この考えが混乱していると玲那も分かっているだろうけど、感情100の考えだとこんな感じだと思う

で、自分の中の姉に「本当に歌が好き?」と聞かれて、鈴音の動画を見て、最終的に玲那が達した結論は「お姉ちゃんのこと理解できない」だったんですよね


理解出来ない、ということがどうしようもなく理解出来た

花野井玲那って、多分最初から最後まで消費者の目線でしか物事を見れていなくて、だから鈴音に感じていたシンパシーも結局はアイドル目線で語る鈴音とファン目線で語る玲那ですれ違っていた訳なんだけど(この辺はちゃめさんが言ってたと思う)


「理解できない、でもお姉ちゃんが歌う姿が好きだった。ならアイドルでなくてもいいじゃない」

って考えに至ってしまったんですよね

詩が「やる気がない」って言ってたのはそういうことで、アイドルやらなくても心が満たされるような飢えてない奴が、無理矢理しのぎ削ってアイドル目指しても幸せにはならないんですよ


で、自分の中の一時目標がなくなった玲那は海で「これからどうしようかなぁ」と考えてるところと。

これを鈴音は「玲那ちゃんはすごく迷ってる」と表現した訳ですが、まあ玲那の今回出した結論がオーディションという閉鎖空間の中で生まれた気の迷いなのか、人生の中での一大決心になるのかは今後の展開次第ってことですかね



なんか最近ぼんやり思うのは、鈴音は玲那に思春期をもたらした存在なんじゃないかってことですね

多分玲那のなかでの存在のデカさって灯>母なんですよ 描写的に


姉に精神性が似ている鈴音に反抗することで擬似的な思春期を作っている

4~5話は顕著ですよね 3話はマジで鈴音に怒ってたかも知れないけれど、あとの2話は完全にライバルというポーズで甘えている

この思春期からどうやって抜けるのか、玲那の自他境界は形成されるのかが今後の見ものですよ

セレプロは子育てアニメだった……?

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