友人と「色気を商業アニメで表現するのはとても難しいことなんじゃないか?」という話をした
ある日のこと。友人が好きな漫画のアニメを見たというので感想を聞いてみたら、
「うーん、動作に色気がたりないんだよね」
と言った。
なるほど。
私は動作のことなら少しだけ分かるので、試しにそのアニメを見てみた。
結論として、友人の要求は結構ハードル高いんじゃない?と思った。
まず第一に、色気のある動作というのは難しい。
そのものが、高いレベルを要する作画技術だ。
そして、その色気ある動作がスベらない演出を考えるのも、特殊技能なんじゃないかと思う。
さて、TVアニメは毎話数、演出も作画陣も変わる。
おおよそ2~3ヶ月で一話完成させなければならないのだから、当然の仕組みだ。
まずここで大量に色気作画や色気演出のできる人を調達しなければならなくなる。
具体的には金とコネとスケジュールが必要になってくる訳だが、どれも限りがある。
交渉手腕を駆使して集めてきたとして、今度は意思統一にめちゃくちゃ気を遣わないといけない。
一口に色気といっても様々なニュアンスがあるからだ。
関わる人数が増えるほど、ニュアンスを揃えるのは難しくなる。
一番いいのは絵コンテで動作の指示をしておくことだけど、それにも限度はある。
演出はニュアンスを揃えるのも仕事なので、仕事が増える。
そうした沢山の苦労を経て表現できるのが、そのキャラのもつ色気という魅力なのだ。
作品にもよるが、TVアニメの制作スパンだとどうしても優先順位は低くなってしまうんじゃないだろうか。
キャラの色気より考えることが山ほどあるからだ。
基本的に、色気の表現というのは画力と思考に余裕のあるもののみができる王者の娯楽なのだ。
件のアニメはそういった余裕もなさそうだったし、そこを要求するのはあまりにも高いハードルすぎないか?と思うのだ。
え?俺の推し作品なんだからもっと予算とスケジュール掛けろ?
それは……そうだね!